(法人向け)2024年最新電力市場と電気料金を削減するポイント

2020年からコロナ禍における電力需給バランスの変化や、ウクライナ戦争の影響等から、電力市場が大きく乱れ、過去に類を見ないほど電気料金が高騰しました。一時期は新電力会社が一斉に事業撤退をし、電力市場は大変大きく混乱していました。

2023年からは電力市場が落ち着きを取り戻したことで市場価格も安定しましたが、旧一電(旧一般電気事業者)・新電力共に市場価格変動によるリスクヘッジを踏まえて複数の契約プランが登場し、契約比較の複雑性が増しました。今回は最新の電力市場を振り返ると共に、電気料金削減のポイントについて解説します。

2020年から2023年までの電力逼迫事情

2020年から2023年の電力逼迫事情について詳しく見ていきましょう。この期間、全世界が新型コロナウイルスの影響を受け、働き方やライフスタイルが大きく変わりました。その結果、電力の需要や供給にも大きな影響を及ぼし、電力逼迫という新たな問題が浮上しました。特に、リモートワークやオンライン学習の普及によって家庭での電力使用量が増加。また同時期に厳冬の影響もあり、国内では電力の需要が大変増加しました。さらに、原子力発電所の稼働停止や、老朽化した火力発電所の縮小問題などの原因により、電力の供給側でも問題が発生しておりました。

このように電力市場価格は需要と供給のバランスによって決定されるため、上記のような状況下では電力市場価格が急騰することになったのです。

JPEX-取引市場データ

2024年の電力市場動向

2020年から2022年末にかけて電力市場は高騰期でしたが、2023年以降は緩和期に入っていると考えられます。電力市場が緩和期に入ったことで、各社一斉に市場に再参入し、市場競争環境が構築され始めました。

一方で、これまで通りの固定単価制度を廃止し、市場価格の変動を反映させる市場連動型プランや、固定単価プランと市場連動型プランのハイブリッドプラン、独自の燃料調整費を用いた独自燃調型プランなど、様々な契約プランが登場し始めました。このように各社の提案プランが複雑化したことにより、提案の比較検討の難易度が非常に高くなりました。

2024年以降で契約先を変更を検討される企業は、自社の電力使用状況を把握して、使用状況にあった最適な契約プランを比較検討する必要があります。

電気料金削減で企業が得られるメリット

企業が電気料金の削減を実現すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。

まず1つ目として、電気代コスト削減により、事業利益を最大化することが非常に大きなメリットとなります。業種にもよりますが、特に製造業や小売店は、支出のうち電気料金が占める割合が多い傾向にあります。支出規模が大きい電気料金をマネジメントし、コストを適正化することで、企業の経営効率は向上し、資金を投資や事業拡大に向ける余裕が生まれます。

また2つ目として、電力使用量を削減することで、地球環境への配慮、エコフレンドリーな企業イメージの構築ができる点も重要なメリットです。電力使用量の削減は環境への負荷を軽減し、企業の社会的責任(CSR)への貢献となります。

これらのメリットは全て、企業の競争力を強化することに直結します。電気代削減は、単にコストを抑えるだけでなく、企業価値を高める重要な要素と言えるでしょう。

電気料金削減の2つの視点

電気料金のコスト削減には大きく2つの視点を持って取り組むと良いでしょう。それは電力調達の単価を下げることと、電力使用量そのものを削減することです。この2つによって電力料金を削減することができます。

まず1つ目の視点である電力の調達単価を下げる方法ですが、これは主に電力会社を選ぶことで実現可能です。電力市場は自由化により多くの電力会社が参入しており、それぞれの会社独自の複数のプランが存在しています。自社の電力使用状況にマッチした電力会社を選ぶことで、電力料金の単価を下げることが可能です。

もう1つの視点は電力使用量の削減です。これは、省エネ設備の導入や、オフィスの空調設定の見直し、余計な電力を消費する機器の排除などのアクションにより実現可能です。特に、LED照明への切り替えや、高効率な機器への更新などは初期投資が必要ですが、長期的にみれば大きな削減が期待できます。

これら2つの視点から電力料金のコスト削減に取り組むことで、企業の利益向上や環境負荷軽減につながります。次のセクションでは、具体的な電力使用量の削減方法について詳しく見ていきましょう。

電力料金契約単価の削減方法

現状の契約状況・使用状況を可視化

まずは現在の契約状況と電力使用状況を可視化・整理をしましょう。

契約状況というのは、契約先企業との契約プランの内容と中途解約金条項の確認がメインとなります。同一企業内で複数の事業所を構えている場合、契約先の集約ができておらず、事業所単位で別々のサプライヤと電力需給契約を結んでいるケースがあります。このような場合、会社全体のスケールメリットが活かせていないため、まずは自社の契約先企業の状況を整理するのが良いでしょう。

次に契約プランの確認です。現在の契約プランが固定単価型なのか、市場連動型なのかを契約書や請求書から読み取りましょう。固定単価プラン・市場連型プランそれぞれメリットとデメリットが存在するので、会社の方針としてどちらを採用すべきかルール付けが必要となります。最後に中途解約金条項についても確認をしておきましょう。中途解約金の条件とおおよその金額を把握しておくと良いでしょう。これらを確認することによって、他社への契約乗り換えの可能性が現実的なのかを判断していきます。

そして次に、電力の使用状況として契約電力と、1年分の各月の電力使用量を把握しましょう。新規サプライヤーへの市場調査を行う際に、見積もり条件として電力使用量を提示することで、各社の提案を横並びで比較することができます。

サプライヤーへの相見積もり・市場調査

契約条件と電力使用量の可視化ができたら、複数のサプライヤーへの相見積もりを開始しましょう。この時に前プロセスで整理した1年分の使用電力量のデータを開示することでサプライヤーの手間を減らしてあげることができます。請求書を1年分提示することでも見積もりは作成していただけますが、サプライヤー側の手間を考えると、前プロセスで作成したものを提示してあげると親切です。

各社の提案内容を比較検討

各社の提案が集まったら、提案内容を横並びで比較しましょう。2024年現在、各社の提案プランは多岐に渡り、固定単価型、市場連動型、独自燃調型、ハイブリッド型などが存在しますので、比較検討の難易度が大変高くなっております。見積書の総額だけ見て比較すると、実は横並びで比較できていないケースも存在します。同条件での比較ができるように、見積もり書を正確に読み解かなければいけません。

また、2024年からは容量市場が始まります。容量市場とは、将来にわたる日本全体の供給力(kW)を効率的に確保する仕組みのことです。このような新制度の導入により、各社の提案において各項目に差が出ると想定されます。

複雑性が増している現在だからこそ、1社のサプライヤーからの情報だけではなく、複数のサプライヤーから情報を取得し、比較検討を行いましょう。

(出典)容量市場かいせつスペシャルサイト

電力使用量の削減方法3選

照明をLED化して使用電力を削減

LED照明への切り替えは、企業が電力使用量を削減し、電気代を効果的に節約する方法の1つです。最新のLED照明は、従来の光源と比較して消費電力が大幅に低い一方で、明るさはそのまま保つことができます。これにより、電気代の削減が可能となります。さらに、LED照明は長寿命であり、頻繁に交換する必要がないため、メンテナンスコストも抑制することができます。その上、LED照明は環境負荷も低く、CO2排出量の削減にも寄与します。これらの利点から、多くの企業がLED照明への切り替えを行っており、電気代削減の一環としてその手法が評価されています。

ただし、LED照明の導入には初期投資が必要となります。そのため、そのメリットとコストを比較し、経済的かつ環境的にも最適な選択をすることが重要です。

太陽光発電システムと蓄電池で自家消費を促進

電気代を削減する効果的なテクニックの一つとして、太陽光発電システムと蓄電池の利用が挙げられます。太陽光発電システムは、太陽光をエネルギーに変換し、直接電力供給として利用することが可能です。さらに、余剰の電気は蓄電池に保存し、電力需要が高まる時間帯や夜間、または天候により太陽光発電が難しい状況でも電力を確保できます。これにより、電力供給者から買う電気の量を減らし、電気代の削減を実現します。また、電力使用が集中する時間帯に蓄電池の電力を使用することで、最大需要電力を抑えることができ、契約電力の上昇を抑えることにも寄与します。

太陽光パネルの設置はエリアの天候や、施設形状により設置ができない場合もあるため、設置を検討される企業はまずは自社が太陽光パネルが設置可能な建物か、また太陽光パネル設置による費用対効果が見込まれるかを、必ず事前に確認しましょう。

また太陽光発電による電力の自家消費は、自然由来のエネルギーを使用しているため、環境負荷も低減することができます。世界各国でグリーン電力の消費傾向が高まる中、このような取り組みを行うことで投資家対策も同時にできると考えられます。

コンテニューム導入による空調効率向上

コンテニュームとは、空調設備に取り付ける商材で、静電気発生を抑え、熱交換効率を回復させるものです。熱交換効率が良くなることでコンプレッサーの稼働が緩やかになり、省エネにつながります。設置には特別な工事は不要で、誰でも簡単に空調に取り付けることができ、丈夫でお手入れも大変簡単です。

これは1つの例でしたが、このように電力コストを最適化するための商材は多数存在します。自社の電力使用状況を分析し、有効な場所に有効な商材を当て込むことでより高い削減効果を生むと考えられます。

UPSHIFTでは今後電力使用量削減商材について、有効だと判断したものは随時紹介していきます。

UPSHIFTのコスト削減プロジェクトの進め方

UPSHIFTの主導するコスト削減プロジェクトは、現行の電気の使用状況を詳細に可視化し、分析することからスタートします。続いて、専門家チームが最適の電気契約単価と、効果的な電力使用量削減策を提案します。複数のサプライヤから提案を取得し、お客様にあった電力プランを見つけ出します。また、LED照明への切り替え、太陽光発電と蓄電池の導入、空調設備の最適化など、さまざまな削減策をご提案します。

これらの削減策を実施することにより、企業の電気代は大きく削減されます。また、UPSHIFTは削減策の実行から検証までを一貫してサポートするため、企業側の手間も大幅に削減されます。

【無料】御社のコスト削減可能性額を診断します。

UPSHIFTでは無料のコスト削減可能性額診断を行っております。自社の間接材購買領域を見直すことで、どの程度の削減が出るのか、またどういった品目から優先してコスト削減に取り組むべきかの可視化・分析をいたします。

間接材購買領域の適正化を進めたいが、どの品目から着手したらいいかわからない方や、コスト削減の効果が出るのか事前に知りたい方、UPSHIFTと一緒にコスト削減を進めたい方は、是非無料診断を受けてみてください。