直接材と間接材の違いとは?間接材コスト削減を実現する基本ステップを徹底解説

間接材のコスト削減には、調達単価の最適化や仕様・サービスレベルの最適化、購買体制の見直しが必要となります。購買状況を可視化し、優先順位をつけてコスト削減を実行することで、削減効果額を最大化することができます。

間接材領域のコスト削減が重要な理由

間接材領域は直接材領域と比べて、企業での管理重要度が低い傾向にあり、直接材領域ほど全社で徹底した管理が行えていないのが実情です。また、品目群も多岐に渡るため、管理担当者が網羅的に、且つ効果的に管理するのが難しい領域と言えるでしょう。

下記の記事に直接材と間接材との違いや、間接材に該当する品目について詳しく記載しています。

直接材と間接材の違い-間接材領域における一般的な課題とは

さて、前述した通り、間接材は管理重要度の観点から多くの企業で管理が疎かになりがちです。しかし、間接材コストも積み重なると、企業全体の利益に大きな影響を及ぼすもの。業種や業界にもよりますが、売上に対して平均15%程度を占めていると言われています。そのためコストを見直すことで、営業利益ベースで数%程度の利益改善が可能となるのです。

さらに、これまで全社的な管理が行き届いていない領域だからこそ、改善によって得られるメリットも大きくなります。是非、本記事をお読みになられた方で、その必要性を感じていただけた方は、間接材料域の最適化を行い、企業基盤の強化を図っていきましょう。
次章からは、間接材購買最適化のポイントについて解説します。ポイントは可視化と整理、そして最適化です。

間接材領域におけるコスト削減の流れとポイント

①コストを可視化し、優先順位をつける

間接材コスト適正化に向けて最も重要なことは『間接材コストを可視化する』ということです。可視化の目的はいくつかありますが、1番の目的はコスト削減に取り組む品目に優先順位をつけること。目についたコストをむやみに削減するのではなく、現時点での品目ごとのコストを可視化し、コスト削減を進める優先順位を適切につけることで業務工数を無駄にすることなくコスト削減効果を最大化することができます。

まずは総勘定元帳の情報等から、品目ごとの支出を把握しましょう。このフェーズでは正確な金額を把握することが目的ではなく、品目ごとの金額規模が把握できる程度でいいでしょう。

多くの企業が目につく大きなコストから削減に取り組まれる傾向がありますが、このやり方はコスト削減額を最大化するという視点ではあまり適切ではありません。例えば、年間1億円の費用が掛かっている品目の平均削減率が1%程度だった場合、削減想定額は100万円程度。一方で、年間1,000万円の費用が掛かっている品目で平均削減率が40%を超える品目の場合、削減想定額は400万円となります。

このように、品目の特性や市況状況などによってコスト削減率は大きく異なります。むやみに支出規模が大きい領域のコスト削減に飛びつくのではなく、まずは品目ごとのコストの可視化を行い、コスト削減を進める優先順位を市況や想定削減率などを加味して取り組むといいでしょう。

②発注数・金額・契約条件などの購買実態を把握する

間接材コスト削減において、取り組み品目が決まったら、次に行うのが購買実態の把握です。具体的には、取組品目の年間発注数量・発注金額・契約条件などの詳細なデータを集め、可視化・分析を行います。ここで購買実態を把握することで次の③④での活動を円滑に推進することができます。

例として複合機のコスト削減をするとします。この場合、条件可視化に必要な情報は、リース契約書と毎月の請求書の2点です。可視化する項目は契約期間・中途解約金条項・本体スペック・オプション付帯状況・印刷単価・印刷枚数・年間で掛かっている費用です。他社へ見積りを依頼する際に、残存契約期間を見て取り組み時期を決定します。また、契約期中の切り替えでも削減効果が出る場合もあるため、中途解約金条項から期中での想定解約金を算出すると良いでしょう。更にオプションの可視化によって、使用していないオプション状況や、他事業所との比較を行うことができ、必要最低限の要件を整理することができます。

③仕様やサービスレベルの最適化を行う

②で購買実態を詳細に把握したことで、次に、仕様やサービスの適正化の可能性を見出すことができます。同一業務を行なっている店舗・事業所にも関わらず、発注仕様が大幅に異なっているケースは珍しくありません。

例えば、片方の店舗はオーバースペック品を発注しているのに、もう一方は最低限のスペックでの発注などが挙げられます。この状況が起こるのは、発注ルールが明確化されていないことが原因です。まさにこれが間接材購買における最適化のポイントの1つになります。仕様の最適化とは、発注仕様にルールを設けて、オーバースペックな要求を見直すことにより、不要なコストを削減するアプローチを指すのです。

過去に多店舗展開している小売店でレンタルマットの発注仕様が大きく異なっているケースがございました。A店舗では汎用性のある無地のマットを発注している一方で、B店舗ではオリジナルロゴ入りマットを使用していたのです。このように間接材購買品の統制がかかっていない状況を、②の購買実態把握により見つけることができました。最終的にこちらの店舗では、全てを汎用性の高いマットへ変え、サプライヤーへの交渉を行なうことで大幅なコスト削減に繋げることができたのです。

④市場調査をする-最適購買価格の調査-

①〜③までの過程を踏むことで、新規サプライヤーへの市場調査を行う要件を確定することができました。このように見積もり要件を明確にし、定量的なデータを用いてサプライヤーへ見積り依頼をすることでより良い条件を引き出すことが期待できます。

また、市場調査の際には、全社的な活動としてスケールメリットを活かした見積り依頼をかけることで、サプライヤーからの大幅な割引を引き出すことが可能となります。これまで相見積もりは行っていても、それが都度の相見積もり、都度の発注をされている場合は、改めて全社横串での市場調査をしてみてはいかがでしょうか。更なるコスト削減を実現することが期待できます。

併せて市場調査を定期的に行うことで、サプライヤーより新たな製品やサービスの提案を受けることも多く、業務改善や事業基盤強化につながる情報収集にもつながります。これまでの取引先を尊重し、契約継続前提のお取引が必要な場面もあるかと思いますが、間接材購買品の定期的な見直しにより事業基盤強化に繋がる提案をもらえるケースも多いのです。是非、定期的に外部の企業との接点を持ちましょう。

⑤Appendix-購買体制の見直し

上記までの流れを抑えて、品目ごとに間接材購買の最適化に取り組めた企業様は、改めて間接材購買体制構築の重要性に気づいていただけたのではないでしょうか。

購買体制の見直しは、間接材の購買における重要なテーマです。またこの購買体制の見直しを進めることでコスト削減以外に得られることとして、企業のコンプライアンス強化があります。これまで、発注権限を現場に委譲していた場合、現場が発注品の仕様などを自由に決めていたことになります。不要なオーバースペック品を購入していたことを是正すればコスト削減に繋がり、またプライベートで使用する物品を経費処理する等のコンプライアンス違反を未然に防ぐことも可能となるのです。

購買統制を掛けることは非常に難易度が高く、システムの導入が必要となるケースは多くの費用がかかります。その前に、まずは品目別でコスト削減を中心に進めていき、原資を獲得し、その原資を購買体制強化に繋げる流れが賢明です。

まとめ-間接材領域の最適化/コスト削減-

間接材領域における最適化を目指す上での第一歩は、コストを可視化すること、現状の購買実態を正確に把握することです。間接材領域は特性上、品目が多岐に渡る傾向が強く、担当者が購買実態を詳細に把握し、戦略的な調達・購買活動をすることが安易ではありません。そのため、担当者レベルで最適化を実施するのではなく、組織全体として取り組みを行う必要があります。

今回は調達・購買価格を適正化するために必要なアプローチについて記載をしました。今後は戦略的な購買に向けた購買組織の構築についても掲載していきます。まずは短期的に企業基盤強化に繋がる、コスト削減を進めていくようにしましょう。